ヘルガスト。

みずからを「新しい種族」「進化した人類の姿」と称する種族が人類にしかけた戦争は意外な形で終結した。ヘルガストの母星ヘルガーンで超エネルギー・ペトルサイトが爆発し惑星ヘルガーンは壊滅したのだ。

軍人・市民を問わず、おびただしい数のヘルガストがペトルサイトの炎に焼かれた。人類は自らの罪におののき、ヘルガスト政府は自らの敗北を悟った。

両者は早々に停戦協定を締結し、故郷を失ったヘルガストに対して人類の植民星である惑星ヴェクタの一部割譲を決める。人類とヘルガストは共存の道を探りはじめたのだ。

だが、かつての仇敵が隣人となることで長年にわたる不信と憎悪はかえって増長していく。停戦後わずかの期間で、ヴェクタ政府は巨大な「壁」の建設を決定。ヘルガーン居住区を巨大な壁で囲み自治権を与えて「新ヘルガーン」と称した。

形の上では自治を回復したヘルガストだが、軍事力を制限され「壁」による封鎖で経済も低迷した。一方、人類(ヴェクタ人)の住むヴェクタ側は戦勝による経済成長で大きな発展を遂げる。表向きの平和の陰で両者は互いに恐れと憎しみとを募らせていった。

30年後、ヴェクタ市ではヴェクタ安全保障局(VSA)が特殊工作員「シャドーエージェント」を復活させ、治安維持に乗り出していた。同時に新ヘルガーン政府も工作員をヴェクタ側へ送り込む。一方、新ヘルガーン内では人類根絶を主張する過激派組織「ブラックハンド」が貧困層を中心に広く支持を集めている。

惑星ヴェクタの緊張は、かつてないほどに高まっていた。