1967年、我がソビエト連邦の科学研究機関で、ある極秘プロジェクトが進行していた。
だがそれは失敗に終わった。
開発した装置が暴走し、予期せぬ結果を招いた。
世界中の人々の肉体と意識が〈ボイド〉と呼ばれる大地となって、地表を覆ってしまったのだ。

それは生命の営みを拒絶するような、不毛な大地だった。
地球上の大半の文明・自然・生命体は滅亡し、さらにボイドに溶けた人々の恐怖心が実体化して、
巨大獣〈イズベルグ〉をも生みだした。
わずかに生き残った者たちも、その脅威にさらされることになった。

しかし、人類は希望を無くしたわけではなかった。
ボイドに溶けてしまった人間の一部がマトリョーシカに姿を変えて地表に現れることを発見し、
またそれを元に戻す技術を開発した。

そして、自分たちの代わりにボイド上で救出活動を行う〈プロジェクションションクローン〉を作りだし、世界の再建をこの生命体に託した。